小平選手と相沢病院について

2018年の平昌オリンピックで、私と同い年の小平奈緒選手がスピードスケート女子500mで金メダルを獲得する活躍を見せた。

 

同い年であり、一見して人格がにじみ出る表情をしている彼女と、その所属先である相沢病院について考えた。

 

私と同い年なのだから、信州大学を出てもはや9年である。

お互いが、、利潤の追求の目的ではなく、人間らしさや想いに溢れた関係であったのだろう。誠に羨ましく、かつ私自身が人生を通じて実現したい関係である。

 

両者の発端は小平選手が大学時代に怪我の治療で相沢病院で治療したことから始まる。

そして大学卒業後、支援者を探すもなかなか見つからず、内定取り消しの不安も重なり、八方塞がりであった小平選手が、理事長を訪ねた。

 

そこで、相沢理事長は小平選手の支援と相沢病院での採用を即決。

「大きな額は出せないけど、地元の長野で誰も支援者が現れないのなら、頼ってくれた僕が引き受けるのが当然」というようなことをコメントしている。

 

小平選手が病院事務の仕事をしたいと伝えてもスケートの練習に集中できるようにと断り、その後追加の支援金は年間1000万を超えるが、「スポンサーではないから広告の必要は一切不要」と徹底して支援者である。

 

これはすごい。支援する病院もすごいが、小平選手はもっとすごいかもしれない。

 

小平選手は女子選手に珍しくあまり大きく笑ったり媚びを売るようなファンサービスはしない。

オリンピックレコードを出し、歓声が上がり続けている中、人差し指を口に立てて静かにするよう促し、次の選手のスタートを邪魔しないように過ごすような人である。負けた選手を讃える配慮も忘れぬ人でもある。

そんな姿勢が個人的に大ファンになってしまった。

 

そして、相沢理事長も当時22歳のオリンピック候補選手とはいえ、夏に比べれば注目度の低い冬季オリンピックを目指す無冠の選手を採用するのはすごい。

経営上、支障をきたすほどではないかも知れないが、見返りも何も求めずこれまで数千万円から1億以上支援している。

選手として考えると本当に有難いはずだ。

もし広告の役割を背負う場合、必ず指定の大会に出たり、注目の競技に専念するように働きかけられるケースも多い。

日本のマラソンが成長しないのは、実業団駅伝大会が注目を集める弊害とも言われている。

 

今回の両者はそういった事情は一切ないように感じるし、相沢病院の支援がなければ、金メダルはおろか、小平選手が競技を続けることはできなかったのではないだろうか。

 

私は生きている中で、「感動すること」を大切にしたいと思っている。

理屈ではなく、損得計算ではなく、想いを込めたり、何かに賭けるような部分を人生に持ちたい。今回改めてそう思った。

 

自分の夢を叶えようと必死になっている若者の支援者(それもたった1人の支援者)なれることは、自分の状況と縁の巡りが必要で、大変な贅沢なのかも知れない。

 

私はそれを手に入れたいと思っている。

 

まずはそれを語ることからかな。

 

https://www.daily.co.jp/olympic/2018/02/19/0010999018.shtml?pg=2